夢小説メイキング

 他人のメイキング見るの楽しい! ので、私も書いてみました。
 メイキングに使うのは『地の底のディストピア』第1話(Dグレ、男主、TS、男から女へ)です。これから紹介するプロットや下書きには、第1話~第3話までのネタバレが含まれています。

使用ツール

・紙とペン
・一太郎Padアプリ
・パソコン

 

1. ネタ出し

 Dグレの夢小説が読みたいから何か書こう、第二エクソシストの話が好きなんだよな、と夢主を人造使徒にすることに決めます。
 他にもトリップしてクロスに拾われる夢主も考えてちょっと書いてみましたが、トリップからクロスに会うまでが長い! つまらん! と没にしました。これから始まりますよって導入部が長い話よりも、1ページ目から物語が始まるものが好きです。

 人造使徒の夢主には2つの案がありました。
1. 「勝手に私の体で実験してんじゃねえ」な夢主。重苦しいシリアス。
2. 「いや、やっていいよと言ったけどまじでやりやがった……」な夢主。軽いノリで読みやすい。

『地の底のディストピア』を読んだ方ならわかると思いますが、2の案を採用しています。ですが、最初は1の夢主にしようと、紙に思いついた設定をかき出していました。その辺にあったノートとペンを使用しています。写真に撮ったので載せますが、人に見せることを想定しないで書いたので字が汚いです。

         ハイノ
第2エクソシスト Heino
  女→男へ
  装備型 日傘
 死体は燃やす主義
 (人体実験妨止、AKUMA妨止)

アルマより先に目覚めた
記憶あり 他の被験者が発狂
 自死するのを見てきた

 元、ドイツ人女性 グレーテル

 誤字がありますね(誤:妨止 正:防止)。変換で出なくて気づきました……。
 長い話を書く時は夢主のデフォルト名を決めます。ネットの人名辞典や各国の名前ランキングを参考にすることが多いです。夢主をドイツ人にしたので、ドイツ語圏の名前を調べました。……なぜドイツなのか? 第二外国語でとって他の言語より少しは知識があったからです。うちのDグレ夢にはすでにイギリス人夢主(『エクソシストは膝をつく』)がいるので、英語圏は除外しました。このメモによると、グレーテルが夢主の、ハイノ(Heino)が被験体のデフォルト名ですね。
 女から男のTSにしたのは、その方が「勝手に人の体で実験したうえ、勝手に性別まで変えやがった」と夢主の怒りや不快感が倍増するからです。男体になった後も反抗心から女性の服を着続けるので、イノセンスも女性的な日傘にしています。また、自分のように人体実験に使われては可哀想だからと仲間の死体を燃やすようになることも書いています。自分用のメモなので、他人にわかるよう伝えるには圧倒的に言葉が足りませんが。
 さて、この夢主グレーテルをどう動かそうか。原作を読み返します。研究員たちに怒りをぶつけるのは神田がしているので、違う視点から行動する夢主がほしくなりました。グレーテルを没にし、2の夢主に変更です。とはいえ、グレーテルの設定をほとんど引き継いだので、新しく夢主の設定を書くことはしませんでした。グレーテルのメモを脳内で2の夢主用に変換すれば十分だからです。

         ハイダ
第2エクソシスト Heida
  男→女へ
  装備型 銃
 死体は燃やす主義
 (人体実験妨止、AKUMA妨止)

アルマより先に目覚めた
記憶あり 他の被験者が発狂
 自死するのを見てきた

 元、ドイツ人男 ウーヴェ

 設定を詳しく書かないのは、設定で満足して小説を書かなくなるのを防止するためでもあります。
 おおまかな夢主設定ができたので、次はプロット作りに移ります。

 

2. プロット

 頭の中にあるものを忘れないうちに片っ端から一太郎Padに書いていきます。いつでもどこでも書けて編集が楽、という理由でiPhoneで打ち込んでいます。一太郎Padを入れる前はただのメモ機能を使っていました。私のプロットは箇条書きスタイルなので最低限の機能があれば十分なのです。一太郎Padは「……」「――」をボタンひとつで打てるので気に入っています。
 台詞と行動、出来事が中心です。感情は書かないことが多いです。時系列は気にせずに、とりあえず打ち込みます。気になるなら後で順番を入れ替えます。

プロット(第1話~第3話)

キョンシー作らないの?
生き返らすのさ
あれは死体だよ
新しい体
義手義足
か 機械仕掛け
美男子に頼む
美女がいいかな
男の方が筋力がある
女性は生理があるし
生殖機能はとっぱらえ
身体強化しとけ

……って言ったけどよ

エドガーとお茶する
エドガーと友達

女性体
つり目の美人
エドガーの趣味わかりやすい

私は女性体に反対したのだ
まあまあデータとれると考えたら

君はなんともないの
体がつらいか?
心の方だよ
きょとん

発狂する他の被験者

ああ、エドガーの心配はこれか

なんでお前は平気なんだ

 これは一番最初にできたプロットです。後で思いついたものを付け足していくので、現在のプロットは少し変わっています。

 

3. 下書き

 一太郎Padに新規のページを作り、プロットから第1話で書く部分をコピペします。台詞や行動、入れたい情報を足していきます。いつ、どこで、誰が、何を、どうした、を明確にしていきます。

下書き(第1話)

アジア支部
「エドガーお茶しようぜ」
二十代半ばの青年
エクソシストの黒いコート
背中に銃
ローズクロスがなければ軍人
「仕事中なんだけどな」
「エクソシストの任務報告を聞くのも仕事だろ。茶を飲みながら聞いてくれ。ハノイでなんだかよくわからないハーブティーを買ったんだ」
「わからないって」
「ベトナム語わかんね」
「お茶好きだな」
任務の度に買ってくる
「戦場じゃのんびりちゃを入れられないからな」
給湯室へ
盆に人数分
配る
茶菓子はないのかという声
自分で用意しろと一蹴
「ほら」
最後にエドガーへ
空いている椅子を引っ張ってきて座る
お茶の香りを嗅ぐ
片眉を上げてなかなかといった感じ
一口飲む
「うわっ、しっぶい!砂糖入れてくればよかった」
エドガー引き出しから干し杏を出して渡す
「ダンケ」
「ビッテ」
同郷の2人
「でさ、ハノイから帰ってくる途中に飯屋で一緒になった中国人から聞いたんだけどキョンシーって知ってるか?」
「任務の話はどこいった」
「イノセンス空振りだったから殊更言うことない。道中で報告書仕上げたから目を通してくれ」
コートのポケットから折り畳まれた紙を出して渡す
「で、キョンシーの話なんだけど。死人を生き返らす秘術ってのがある」
「いや、死体を魔術で動かしているだけで生き返すわけじゃないよ」
「なんだそうなのか」
がっかり
「キョンシー作らないのか聞きたかったんだけどな」
「生き返らせるかって?」
「そう。生き返らすまでいかなくとも瀕死の人間を助けるような」
「医術には最大の努力をしているけど」
「それはわかってる。もっとこう、新しいこと。たとえばそうだな、怪我したり歳取ったら新しい若い体に移す?みたいな。義手義足でもいるや。機械仕掛けの」
「君は……そうされたいの?」
「死にたくないからな」
「今の体を失っても?」
「それで生きれるならな」
「そう……」
「そんな研究してないのか?」
「倫理的な問題があるからね」
「そっか」

「もし、体を作り替えて生き延びられるなら顔もいじってほしいな。美男子に頼む。いや、どうせなら美女がいいかな」
「男の方が筋力があるよ。女性は生理があるし」
「生殖機能はとっぱらえ。身体強化しとけ」

「……って会話した覚えはあるけどよ」
ベッドの上
あぐらをかいて座る少女
「まじでやったのか!?」
エドガー
頭をかいて笑って誤魔化す
返事をにごす

 清書時に決めよう、と後半になるにつれ下書きが適当になっています。頭の中にあるぼんやりとした話の元を、書くことで鮮明な形にしていくタイプです。脳内イメージをボタンひとつで出力する機械があったとしても、私の頭にあるのは曖昧なイメージなのでそれでは小説の形にならないでしょう。世の中には頭の中にすでに完成形があり、あとは完成図に従って書き写すだけという人もいるようですが。

 

4. 清書

 下書きに上書きしながら書いていきます。家で書いたり、職場の休み時間や外食時の料理が出るまでの待ち時間に書いたり様々です。基本はスマフォですが、ソシャゲ周回中はパソコンで打ち込んでいます。今やっているのはメギド72とFGOです。
 詳しい解説は下のリンクからどうぞ。自作品に自分でコメント入れていくのを前にTwitterで見てからやってみたかったんです。

≫解説コメントつき第1話

 書き終えたら、プロットから書き上がった部分を削除します。どこまで情報を出したかわからなくならないようにするためです。あと減っていくプロットを見て、こんなに書いたんだなと目に見える達成感が得られます。完了したやることリストを消していく快感みたいな感じです。
 100%の完成度を目指そうとするといつまでも完成しないので、理想の80%くらいできたらいいかなと思っています。納得いかない部分があっても、これが今の自分の実力の限界なのだ、完結したら加筆修正して改訂版をあげればいいさ、と言い聞かせます。そしてサイトにあげます。

 以上で夢小説メイキングは終了です。長くなりましたが最後までお付き合い頂きありがとうございました!